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旅館業法改正でフロント設置はマストではなくなった!小規模施設開業のために押さえておきたい4つのポイント

旅館業法改正でフロント設置はマストではなくなった!小規模施設開業のために押さえておきたい4つのポイント

平成30年の住宅宿泊事業法の制定と同時期に旅館業法の改正があり、2022年時点で4年が経過します。一方でコロナウイルスのまん延期間も長くありました。

コロナからの回復を見据えこれから旅館業許可を取得して開業を考えている方は、改めて改正点を確認して知識をアップデートしておくとスムーズでしょう。
過去の記事から改正点を中心にリライトしてみましたので、ぜひご一読ください。

それでは玄関帳場と呼ばれていたいわゆるフロントの緩和規定について、法律から条例に至るまで順を追ってみていきたいと思います。

目次

法改正で施設内にフロント設置をしなくても良い選択も可能になった

そもそも以前はなぜフロント設置が必要だったのか?ということですが、答えは法令等で規定されていたからです。今でもホテルにフロントがあるのは自然なことですね。

旅館業法施行令(旅館・ホテル営業施設の構造設備の基準)
二 宿泊しようとする者との面接に適する玄関帳場その他当該者の確認を適切に行うための設備として厚生労働省令で定める基準に適合するものを有すること。
厚生労働省令
第四条の三 旅館業法施行令第一条第一項第二号の基準は、次の各号のいずれにも該当することとする。
一 事故が発生したときその他の緊急時における迅速な対応を可能とする設備を備えていること。
二 宿泊者名簿の正確な記載、宿泊者との間の客室の鍵の適切な受渡し及び宿泊者以外の出入りの状況の確認を可能とする設備を備えていること。

迅速な対応や適切な鍵の受け渡し、宿泊者の出入りの状況確認などの設備とありますが、まだあまり具体的ではありません。そこで条例を見ていきます…。

福岡市旅館業条例  (ホテル営業施設の構造設備の基準)

第3条 政令第1条第1項第11号に規定するホテル営業の施設の構造設備の基準は,次のとおりとする。
(1) 宿泊者が利用するロビーが設けられていること。
(2) 洋式の構造設備による客室の数が客室の総数の2分の1以上であること。
(3) 帳場が,宿泊者その他の施設の利用者(以下「宿泊者等」という。)の出入りを容易に確認することができる位置に設けられていること。

ここまで見てようやくはっきりと記載があります。
上記③より、帳場の設置が明記されています。また当時はロビーの設置、旅館とホテルの区別のため様式の客室の割合なども定められていました。

改正によって変わった点

旅館業法改正に伴い省令以下も改正されました。

第四条の三 旅館業法施行令(昭和三十二年政令第百五十二号。以下「令」という。)第一条第一項第二号の基準は、次の各号のいずれにも該当することとする。
一 事故が発生したときその他の緊急時における迅速な対応を可能とする設備を備えていること。
二 宿泊者名簿の正確な記載、宿泊者との間の客室の鍵の適切な受渡し及び宿泊者以外の出入りの状況の確認を可能とする設備を備えていること。

上記改正によって各自治体で玄関帳場を有しない場合に必要な内容が規定されることになりました。下記は福岡市の場合です。

旅館業法施行規則(省略)に規定する玄関帳場を有しない施設に該当する場合にあっては次のことを確認できる書類とする。

① ビデオカメラ等の型式,録画機能 

② 施設及び管理事務所でのビデオカメラ等の設置場所

③ 施設と管理事務所までの距離・位置関係 

④ 管理事務所から施設へ駆けつけるために使用する交通用具及び経路・時間 

⑤ 宿泊者に建物の管理取扱責任に関する内容について署名を取る様式又は署名と同等の措置内容 

⑥ 玄関帳場の代替設備で行う業務を第三者へ委託する場合は当該内容 (事業者名,所在地,連絡先,委託内容) 

⑦ 施設及び管理事務所での通話機器の設置場所 

⑧ 宿泊者の安全等を確保するためのマニュアル <宿泊者と対面せずにチェックイン(以下「非対面形式でのチェックイン」という。)を行う場合> 

⑨ 使用する機器及び設置場所 

⑩ 予約からチェックイン・入室までの手順 

フロントを設置しない場合に必要な対応・設備

24時間人の出入りが監視ができるビデオカメラ

最近のカメラであれば画像数などは問題ないと思いますが、人の顔が識別できるように設置し3日以上録画機能があるものが良いです。
沖縄県では人感センサー機能つきのもので通知がスマートフォンなどで確認できるなど自治体によって要件に違いがあるため、購入前にチェックしておきたいポイント。

Planex 防犯カメラ スマカメ2 ローライトモデル CS-QS20



こちらのカメラは安価で室内の玄関付近に設置するのにおすすめです。
設置もビスで固定するだけで、電源を繋ぎWi-Fiとの接続を行えばスマートフォンの専用アプリで確認ができます。

タブレットなどの通話機器

非対面形式チェックインを行う場合は宿泊施設やその敷地、建物等に宿泊者の顔及び旅券の鮮明な画像を写すことができる機器を設置する必要があります。

私が申請した物件で過去一番多かったのはi padなどのタブレットを室内に設置し、宿泊者が事前に送られたコードを入力して通話するものでした。その他建物外部に設置したインターフォン型のテレビ電話などもあります。

ただし、宿泊者自らのスマートフォンで通話する等の本人確認は認められない場合が多いので要注意。

定番のipad

管理事務所

施設まで10分で駆けつけができる範囲に管理事務所を設ける必要があります。
人の配置と事務所スペースの確保が必要で一番のネックになる部分ではあります。
突然宿泊者が訪ねて来られても問題ないように人員体制を整えておきたいところです。

・管理事務所には宿泊施設と通話ができる通信機器が必要(上記ipad等)

・明らかに管理事務所と言えない場所や業態はNGだが、自宅件事務所などは認められる。

・突然の宿泊者訪問にも対応できる体制を。保健所の現地チェックもあります。

・外部に業務を委託する場合は業務委託契約書を取り交わし、業務内容を書面に残しておきましょう。

本記事のまとめ

・法改正によってフロント設置は多くの自治体で必須とされなくなった。

・その代わりにビデオカメラ等で監視するための設備や管理事務所の整備が必要となった。

・宿泊者が到着して本人確認を行なえるよう、オペレーションを構築する。

・苦情やトラブルの際は速やかに対応できるように日頃から対応を想定しておく。

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