昨年末に民泊新法とともに法案が可決された旅館業法改正について、具体的な手続きの内容や基準が示された施行令及び施行規則が公開されました。
当ブログでは新旅館業法としてこの改正内容を随時解説していきたいと思います。
目次
今回の改正点の目玉
まずは今回の改正にてどこが変わったのか、民泊運営を行う上で大きく影響がある点は下記の通りです。
・ホテル営業と旅館営業の統合
洋式の構造設備の要件の廃止、ホテル営業では最低床面積が9㎡以上となっていたが7㎡以上に緩和。(ベッドを置く場合は9㎡以上)
・玄関帳場(フロント)設置基準の緩和
ビデオカメラやタブレットなどICT設備での代替を認める。→ホテル営業でもフロント不要。
などでしょうか。トイレの構造基準の緩和などもありますが今どき和式便所などのホテルはないと思うので‥‥。
その中でも簡易宿所営業と同じくフロント設置要件の緩和で代替設備を完備することでフロント不要となったことは大きく、今後フロントがあるホテルの周辺に支店型の民泊ホテルや無人型のホテルなども増えてくるのではないかと思います。(Aiロボットが接客などもあり得るかも…)
民泊運営での活用について
そして、今まで部屋数の基準があったため簡易宿所営業を選ばざるを得なかった、少ない部屋数の民泊施設でも、旅館・ホテル営業で許可の申請を行うことで、各部屋を個室型の民泊施設として管理が可能になります。
簡易宿所営業はもともと山小屋や大勢の旅行者が部屋を共有する形での使用を想定されていたため、例えば一戸建てで民泊を行う場合、部屋の定員がいっぱいになるまでは宿泊者を拒否できない=多数のグループの混在となってしまう。そのため部屋の鍵設置は行うことができません。カーテンなどで仕切ることは可能。
それに対し、旅館・ホテル営業の形だと各部屋ごとに宿泊者を割り振ることができるので、個室として利用が可能となります。もちろん鍵の設置も可能。
まとめ
上記ざっと今回の改正について説明しました。
今までなかなか手を出すことが難しかった旅館・ホテル営業許可についても可能性が広がり、より実態に合ったかたちになったように思います。
ただ既存物件で許可を受ける際のハードルとなっている建築基準法関係や消防法などは変わらないので、その点は今まで通りの運用となります。
既存物件などを民泊物件にコンバージョンできないかという相談を受ける機会も多くなってきていますが、古い物件だと申請に必要な検査済証がないことや、宿泊施設にリフォームする際の費用が掛かる点などで断念されるケースも多くなっています。民泊と言えども、宿泊施設を運営することなので事業計画は事前にしっかり考えることが成功のカギでもあると感じます。