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日本国籍を取得する手段 帰化申請は自分で可能?押さえておきたい要件と手続きのポイント

日本に在留する外国人にとって、日本人と結婚したり、日本で就職したりする中で、「今後も日本に居続けたい」「日本人と同等の身分をてにいれたい」と思うのは自然なことだと思います。日本国籍を得て日本人になるための手続きが帰化であり、帰化後はビザの更新のような手続きもなくなります。

現在帰化申請は毎年約1万人程度が申請を行なっており、おおよそ9割近くは許可されています。
また日本のパスポートはビザ(査証)なしで入国できる国が多く、日本国籍を取得するメリットも多くあります。

帰化の申請についての概要とポイントを押さえて、スムーズに手続きができるように準備をしていきましょう。

帰化とは

まず日本国籍を取得する手段についてですが、主に「出生・届出・帰化」の3つの方法があります。

出生(国籍法第2条)

生みの父母のどちらかが日本人であるときは当然その子は日本国籍となりますが、出生前に死亡した父が死亡の時点で日本人であったとき、また日本で生まれ父母がともに不明のときや無国籍のときにもその子は日本国籍を取得します。

届出(国籍法第3条、第17条)

届出による国籍の取得とは、「一定の要件を満たす方が、法務大臣に対して届け出ることによって、日本国籍を取得する」制度となっています。

例えば認知された子の国籍の取得などが該当します。

帰化(国籍法第4条から第9条まで)

帰化とは日本国籍の取得を希望する外国人からの意思表示に対して、法務大臣の許可によって、日本の国籍を与える制度であり、本記事で説明する帰化はこちらに分類されます。

帰化の要件

次に外国人の方が帰化するための6つの要件について、ひとつずつ説明していきます。

住所条件(国籍法第5条第1項第1号)

 

帰化の申請をする時まで(審査が終わるまで)、引き続き5年以上日本に住んでいることが必要です。

引き続き」とは継続という意味です。
つまり長期間日本を離れた場合は途切れてしまいますので、要件を満たしません。
海外に長期間行き、日本での滞在期間に空白がある場合は、要注意です。

1か月程度であれば問題ないですが、年に半年以上海外にいた場合などは期間がリセットされ帰ってきてからさらに5年間日本での滞在が必要になる場合もあります。

なお、住所は、適法なものでなければなりませんので、正当な在留資格を有しており、住所の変更などの手続きもきっちり行なっておきましょう。

能力条件(国籍法第5条第1項第2号)

年齢が18歳以上であって、外国人自らの国の法律によっても成人の年齢に達していることが必要です。

素行条件(国籍法第5条第1項第3号)

 

素行が善良であることが必要です。
「素行が善良」とは過去に犯罪を犯していないか、健康保険料や年金などの税金の滞納がないか、社会への迷惑となるような行動をしていないかなど、日本で今後生活する上で懸念や問題となることがないということです。
車を運転する方であれば、一旦停止違反など交通違反による罰則を受けていないかなども審査対象となることがあります。

生計条件(国籍法第5条第1項第4号)

生活に困るようなことがなく、日本で自らの収入や財産で今後も安定して生活できることが必要です。

審査は生計を共にする親族単位で判断されますので、申請者自身に収入がなくても、配偶者やその他の親族の資産又は技能によって安定した生活を送ることができれば、この条件を満たすことが可能です。

重国籍防止条件(国籍法第5条第1項第5号)

帰化しようとする方は、現在無国籍もしくは帰化によってそれまでの国籍を喪失することが必要です。
例外として、本人の意思によってその国の国籍を喪失することができない場合については、この条件を備えていなくても帰化が許可になる場合があります。

憲法遵守条件(国籍法第5条第1項第6号)

日本の政府を暴力で破壊することを企てたり、主張するような者、あるいはそのような団体を結成したり、加入しているような者は帰化が許可されません。
いわゆるスパイやテロリスト、反社会勢力、詐欺グループなどに関与するものは許可されません。

日本語能力についても審査があります  

帰化する上では当然ですが、日常生活に支障のない程度の日本語能力(会話及び読み書き)を有していることが必要です。

日本人の配偶者や子などの場合条件が緩和されます

日本人の配偶者の場合

居住要件の緩和
「引き続き3年以上日本に住所もしくは居所があり、現在日本に住所を有する方」or

「婚姻の日から3年を経過し、引き続き日本に1年以上住所を有する方」

つまり、3年以上日本に在留する方は結婚した時点、結婚してから日本に在留しはじめた場合は日本にきて1年経過後となります。

 他のビザ申請と異なる申請の流れ

 

申請手続き

帰化申請は本人自ら住所地を管轄する法務局・地方法務局の窓口に出向いて相談・申請を行なう必要があります。管轄は入管ではなく法務局になります。
相談は窓口に突然行っても対応できないことが多く、事前に予約を行ない必要なものを準備して相談に行きましょう。

持ち物

・パスポート(過去のものも)

・在留カード

・健康保険証

・その他指示されたもの

なお最近は窓口が非常に混雑しており、福岡でも3か月待ちという状況です。(R4年12月現在)
代理人での申請はできませんが、専門家が同席することは可能です。

申請に必要な書類

帰化許可申請に必要となる主な書類は、次のとおりです。
事業の概要の書類は経営管理ビザなどで事業を行なっている場合に必要になります。

  • 帰化許可申請書(申請者の写真が必要となります。)
  • 親族の概要を記載した書類
  • 帰化の動機書
  • 履歴書
  • 生計の概要を記載した書類
  • 事業の概要を記載した書類
  • 住民票の写し
  • 国籍を証明する書類
  • 親族関係を証明する書類
  • 納税を証明する書類
  • 収入を証明する書類

ポイント

・国籍を証する書面及び身分関係を証する書面については、原則として外国人の本国の公的機関が発給したものを提出する必要があります。

・帰化の動機書は本人が帰化したい理由を文章で示すものです。思いつくままに書くのではなく、要点を絞って審査官に分かりやすい文章を作成する必要があります。

・申請者の国籍や身分関係、職業などによって必要な書類が異なります。相談の段階で確認しておきましょう。

日本国籍の選択

日本では原則二重国籍が禁止されています。
そのため、帰化が認められた場合は元の外国籍を離脱することになりますが、自動的に離脱されない国に関しては、個別に国籍離脱の手続きを行なう必要があります。

 外国国籍の離脱(国籍法第14条第2項前段)
その外国の法令に基づいてその国の国籍を離脱すれば、重国籍は解消されます。 日本国籍の選択宣言(国籍法第14条第2項後段)
市区町村役場又は外国にある日本の大使館・領事館に、「日本の国籍を選択し、かつ、外国の国籍を放棄する」旨の国籍選択届をすることによって行います。この日本国籍の選択宣言をすることにより、国籍法第14条第1項の国籍選択義務は履行したことになりますが、この選択宣言により外国の国籍を当然に喪失するかについては、当該外国の制度により異なります。
この選択宣言で国籍を喪失する法制ではない外国の国籍を有する方については、この選択宣言後、当該外国国籍の離脱に努めなければなりません(国籍法16条第1項)。
離脱の手続については、当該外国の政府または日本に駐在する外国の公館に御相談ください。なお、外国国籍を離脱した場合には「外国国籍喪失届」を、外国の法令により外国国籍を選択した場合には「国籍喪失届」を、市区町村役場又は外国にある日本の大使館・領事館に提出してください(戸籍法第106条、第103条)。 法務省HPより引用

無事帰化が認められると帰化者の身分証明書が交付されるので法務局の窓口へ受け取りにいきます。

申請の結果がでるまでは1年程度も!残りの在留期間に余裕はありますか?

 

相談窓口の予約でもふれましたが、相談予約で数か月、その後書類準備から申請までの期間を考えると結果がでるまで1年以上かかる場合もあります。

残りの在留期間を考慮して準備をすすめていきましょう。
もし在留期限が切れそうな場合は更新の手続きも必ず行なうようにしてください。

帰化申請のフローについてはこちらの記事を参考ください。福岡での帰化申請の流れ

帰化の許可がおりた後に行う手続きについて

無事帰化できたら日本人として再出発です!日本での各種手続きを行いましょう。

住所地の市町村役場への帰化届出

自分が住んでいる住所地の市町村役場に帰化の届出を行ないます。
こちらの届出を行なうことで日本での戸籍を取得することができます。許可がおりて1か月以内なのですぐに届出を行なうようにしましょう。

在留カードの返納

住所地を管轄する入国管理局に返納します。
戸籍謄本が取得できたら、パスポートの変更、マイナンバーカードの作成・変更、運転免許証の本籍地変更、銀行・携帯電話・賃貸物件の契約変更など必要な手続きを行ないます。

日本では、運転免許証、マイナンバーカードが一般的に本人確認書類として使いやすいのでこれらを携帯しておくと良いと思います。(パスポートより持ち運びもしやすいですね)

Q&A

Q:コロナ前に家族面会のため帰国したが、コロナウイルスの影響で入国制限があり日本へ帰国できなかった。そのため2〜3ヶ月程度母国にいたが継続性に問題ないですか?

A:特別な理由なく長期間海外にいた場合は住所条件を満たさない可能性がありますが、本件のような事例はやむを得ない事情であり、審査時に考慮してくれるようです。

Q:年収が少なく、毎月の生活がまかなえる程度しかありません。貯金もほとんど無いのですが大丈夫でしょうか?

A:ご自身の収入や資産が少ない場合は、配偶者や家計をともにする親族の資産・収入などでカバーできる場合があります。また不動産などの資産(オーバーローンではない)があればプラス材料になると思います。

まとめ

帰化についてまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか。
申請する人の国によっても準備する書類が異なり、人それぞれなところがあります。

余裕があればじっくり取り組んでいただきたいですが、一度不許可になると、手間も時間もかかります。
もし自分で難しいと感じるようであれば、一度ぜひご相談ください。