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在留手続

日本で働くためのビザ「特定技能ビザ」が人気?技能実習ビザとの違いは?

該当する方

・特定技能での外国人雇用を考えの事業者

・特定技能について知りたい外国人の方

「特定技能で雇用したい」「日本でのサポート付きで仕事ができる資格」として人気のビザですが、一体どういうものなのか曖昧ではありませんか?
ここでは、特定技能の制度から技能実習ビザとの違い、雇用側・外国人側のメリットについて解説します。

将来的には対象業種が拡大し、永続的な雇用ができる可能性もあります。
採用に悩む企業にとっては「将来の優秀な人材確保」のため知っておくべき知識となります。
また外国人の方には今後のキャリアアップができるよう、事例をご紹介します。

特定技能ビザとは?

在留資格「特定技能」とは日本の労働人口減少に対応するための国策で2019年に始まった制度です。
特定分野での単純労働が可能な在留資格として人気を得て2022年6月現在で約8.7万人が在留資格を取得しています。

区分として1号と2号がありますが、当初はほぼ1号でのスタートとなり、2号は対象分野でのみステップアップすることを想定されています。
1号では特定産業分野として定められた14分野で最長5年間働くことが可能です。

特定技能ビザで在留する外国人の推移を見ると、1年前から3倍近く増えており、今後も2号分野の拡大などでさらに増える見通しです。
外国人の方とっては、受入機関の支援を受けて日本での生活をサポートしてもらえるため、日本滞在のハードルが下がり利用しやすい制度ではないでしょうか。

対応する産業分野について

特定技能1号での外国人の受入れ分野は、以下の14分野となっています。
日本人の働き手が少ない業種が中心で建設・造船分野は2号での受入分野にもなります。

  • 介護分野
  • ビルクリーニング分野
  • 素形材産業分野
  • 産業機械製造業分野
  • 電気・電子情報関連産業分野
  • 建設分野 
  • 造船・舶用工業分野
  • 自動車整備分野 
  • 航空分野 
  • 宿泊分野
  • 農業分野
  • 漁業分野
  • 飲食料品製造業分野
  • 外食業分野

特定技能2号での受入れ対象は2分野のみとなっています。

  • 建設分野 
  • 造船・舶用工業分野

国籍別割合

特定技能で在留する外国人の国籍トップ3はベトナム60.3%、インドネシア10.8%、フィリピン9.9% です。
その他もアジア圏の国籍者がほとんどを占めています。

分野別割合


産業分野(業種)別では、飲食料品製造業分野が33.9%、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野が20.4%、農業分野13.1%となっています。
ちなみに1号分野での在留は、現段階で1名のみ(建設業)となっています。

※上記データは2022年6月集計時点のものです。

特定技能ビザの種類と要件

1号と2号の違いは?

特定技能1号は「特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する」
特定技能2号は「特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する」
外国人向けの在留資格です。

2号の方がより専門的な技能を要するものと言って良いでしょう。

制度的には1号から2号にステップアップすることを想定しているため、1号で在留している方は今後2号に移行が可能となりますが、現状業種が限られ「建設分野と造船・船用工業分野」の2業種のみになっています。

2号は受入支援機関の支援を受ける必要もなく、要件を満たせば日本で配偶者や子供と一緒に暮らすことができることや、更新期間が長い(実質的に無期限延長)などのメリットが与えられています。

特定技能1号のポイント

在留期間 1年・6か月・4か月ごとの更新。通算で上限5年まで。
技能水準試験 試験等で確認 ※1
日本語能力試験 生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認 ※1
家族帯同 基本的に認めない
受入機関の支援対象 対象

※1 技能実習2号を修了した外国人は試験等免除

特定技能2号のポイント

在留期間 3年・1年・6か月ごとの更新
技能水準試験 試験等で確認
日本語能力試験 不要
家族帯同 要件を満たせば可能(配偶者・子)
受入機関の支援対象 対象外

日本語能力試験について

特定技能ビザを取得するには、日本での生活や就業活動に困らない程度の日本語能力があるかテストを受けます。
受験会場にて受講し、ひらがなから漢字まで読み書き、リスニングなどのテストがあります。

特定技能2号取得時には試験を受ける必要はありません。

日本語能力試験公式HPより引用

詳細を知りたい方は日本語能力テストの実施機関ページを御覧ください。

技能水準試験とは?

各分野において学科・口頭等で試験を行い、外国人の技能レベルをチェックしています。
業務に関する知識面でも基準をクリアしないとビザ取得ができないため、雇用側にとっては一定の知識を持った外国人を採用できるメリットがあります。

技能水準試験は海外でも試験を実施している機関もあります。例えば下記宿泊分野の技能測定ではネパールでも実施されています。
外国人の自国で受験できれば負担が少なくなります。

参考

技能実習ビザとの違いとは?

特定技能制度が人手不足解消を目的としたものに対して、技能実習制度は途上国への技術支援という国際協力の意味合いがあります。
技能実習の場合は期間終了後に帰国して自国のために日本で学んだ知識を活かすことが目的であるため在留期間も最長で5年となっています。

「それ以上日本で働きたい!」という場合には、特定技能ビザに変更する必要があります。
ただし、すべての技能実習生が特定技能に変更できるわけではないので注意が必要です。

また就労ビザである「技術・人文知識・国際業務」ではその外国人ならではの専門性が重視されるため、単純労働はできないものとなっています。
根本的な考え方が違いますので、理解しておきべきポイントです。

特定技能制度

深刻な人手不足に対応するため特定の産業上の分野において、一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人材を受け入れる制度。

技能実習制度

人材育成を通じた開発途上地域等への技能。技術又は知識の移転を図り、国際協力を推進することを目的とする制度。

特定技能ビザを取得するメリット

  • 特定技能からのキャリアアップが可能
    (介護での事例)
    特定技能1号で介護の実務経験を3年以上続けた後に、介護福祉士の資格を取れば在留資格「介護」に移行が可能となります。介護は在留資格の更新に上限はないため、永続的に日本で就業することが可能です。
  • 2号では要件を満たせば家族を呼び寄せることができる。
  • 日本での就業面生活面などのサポートを受けられる。
  • 将来的に永住を含めた他の在留資格への変更を目指せる可能性も。

雇用側のメリット

1号から入社し、2号にステップアップすると受入機関での支援対象外となり、負担も減ります。そのためより日本人と近い感覚で採用することが可能です。
転職を繰り返すことに抵抗が少なくなった日本人も多い中、長期間自社のスタッフとして根付いてくれると嬉しいですよね。

受入機関・登録支援機関とは?


受入機関

受入機関とは特定技能外国人を雇用する会社等の機関を指します。
特定技能外国人を受け入れるためには、省令等で定められた基準を満たす必要があり、雇用した特定技能外国人が日本で生活するためのサポートを実施する義務があります。 

 受入れ機関が外国人を受け入れるための基準 

  • 外国人と結ぶ雇用契約が適切であること (報酬や労働時間が日本人と同等以上)
  • 受入れ機関自体が適切であること
  • 外国人を支援する体制があること 
  • 外国人を支援する計画が適切であること 

受入れ機関の義務 

  • 外国人と結んだ雇用契約を確実に履行すること 
  • 外国人への支援を適切に実施すること 
  • 出入国在留管理庁及びハローワークへの各種届出 

 1号特定技能外国人支援計画の作成

 外国人が特定技能1号の活動を安定的に実施できるよう、就業面や生活面での支援の実施に関する計画を作成し、計画に基づいて支援を行わなければなりません。

分野別協議会について 

特定技能外国人を受け入れる全ての受入れ機関は、特定産業分野ごとに分野所管省庁が設置する協議会の構成員になることが求められます。

届出について

雇用した特定技能外国人に関する各種届出を随時又は定期に行わなければなりません。

登録支援機関

外国人を雇用した会社が上記説明した義務を果たすのは大変な負担となります。
そこで登録支援機関に支援計画の全部又は一部を委託することができるようになっています。

登録支援機関は受入機関のサポートをする機関という感じです。

登録支援機関になるためには、受入れ機関と業務委託のための契約を結び、出入国在留管理庁長官の登録を受ける必要があります。その他受入れ機関と同様に、登録を受けるための基準と義務があります。 

今後の改正が注目される

日経新聞で報道されたように、今後2号の業種が拡大する可能性があります。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE019ZY0R00C21A9000000/

正式には発表されていませんが、実現すると現在の2分野以外でも1号から2号に変更し、その後も継続的に就業が可能となるため、外国人の方にとっても雇用主にとっても、より使いやすいものになるのではないでしょうか。(現在2号分野の拡大は決定しています。)

どんなことでもまずはお気軽にご相談ください。