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在留手続

建設業での特定技能外国人の受入について

特定技能外国人の受入とは?近年働き手の確保が難しくなってきている建設業界。
私の周りでも「仕事はあるけど職人さんや現場の人が不足している」という声をよく聞きます。
今後は少子高齢化も進む日本で、優秀な外国人の受け入れを検討されてみることもひとつの解決策かと思います。
特定技能外国人の受入を検討している建設業者様向けに、大枠を掴んでいただけるように全体の流れと必要な手続きを解説します。

どのような外国人が特定技能の受入対象になるのか?

国土交通省「特定技能制度」HPより引用

ルート①技能実習生からの変更ルート

技能実習制度において2号技能実習を良好に修了した者が対象になります。

ルート②試験合格ルート

  • 技能検定3級or建設分野特定技能1号評価試験
  • 日本語能力試験(N4以上)

上記いずれも合格することで特定技能としての在留資格を取得することが可能です。※ただし国籍は二国間協定締結国の9か国に限定。

働くことができる業務内容

在留資格を取得する上で、その外国人が従事する業務の種類を決める必要があります。
業務区分は整理され現在は「土木区分」「建築区分」「ライフライン・設備区分」の3種類になります。

国土交通省「特定技能制度」HPより引用
国土交通省「特定技能制度」HPより引用

この3種類は「作業の性質」をもとにした区分であって現場の種類で分けたものではありません。
そのため、土木現場であっても作業の性質が建築区分で対応可能な者であれば、建築区分の特定技能外国人を従事させることが可能です。

報酬について

特定技能外国人の報酬については、基本給や毎月の手当等が同じ程度の技術をもつ日本人を参考に同等以上に決める必要があります。

外国人材を募集する方法

  • ハローワークで求人
  • 業界団体での求人
  • 外国人材を扱う有料職業紹介に依頼する

受入のために必要なこと

受入を行なう企業側が行なう手続きや要件をクリアしていく必要があります。
自社での手続きに自信がない場合は登録支援機関や行政書士などの専門家に相談しながら進めることをお勧めいたします。

建設業許可の取得

既に建設業許可を取得済みの事業者であれば、適法に更新が行なわれていれば問題はありません。工事請負金額が多くなく、建設業許可を未取得の場合は新たに許可取得を行なう必要があります。
その場合は建設業許可の要件を満たすことから確認していく必要があります。

JAC入会手続き

国土交通省「特定技能制度」HPより引用

JACとは一般社団法人建設技能人材機構のことで、「低賃金・保険未加入・劣悪な労働環境等ルールを守らないブラック企業」の排除、失踪や不法就労の防止、処遇改善などを目的に設立されました。

正会員と賛助会員があり、JACの正会員の建設業者団体の会員になるか、JACの賛助会員になる必要があります。
賛助会員の場合は年間24万円の会費となっていますが、建設業団体については各社で取決めがあるようなので、要確認となります。

JACの会員になるとは?

建設業キャリアアップシステムへの加入

建設キャリアアップシステム(CCUS)は、技能者ひとり一人の就業実績や資格を登録し、技能の公正な評価、工事の品質向上、現場作業の効率化などにつなげるシステムのことです。従業員一人一人にIDを付与し、いつ、どの現場に、どの職種で、どの立場(職長など)で働いたのかを就業履歴として電子的に記録・蓄積します。
並行して資格の取得や講習の受講履歴など、技能・研鑽の記録を登録します。
こちらも事前に事業者登録を行なっておく必要があります。

建設キャリアアップシステム

国土交通省特定技能受入計画のオンライン申請

必要な書類や登録等が完了し準備が整い次第、受入計画のオンライン申請を行なっていきます。こちらはオンラインで申請となりますので、添付書類のPDF化などの準備も必要となります。

こちらの申請は登録支援機関も代行が行なえないため、申請に自信がない場合は行政書士等に依頼するのが良いでしょう。

申請の流れ

  • 添付書類の収集
  • システム入力
  • システム送信

事前に確認しておきたい書類

申請に必要な書類は主に登録する事業者に関するもの、就労関係のもの、特定技能外国人の建設業キャリアアップIDに分かれます。
就業規則や36協定届、雇用契約書などは事業者の実態に合ったもので労働基準法等に違反しないか等専門的な知識が必要となるため、特定技能制度に詳しい社労士に相談するのも良いでしょう。

特定技能所属機関になろうとする者に関する事項

  • 登記事項証明書(申請者が法人の場合。3か月以内に発行されたもの)又は住民票(申請者が個人の場
  • 合)
  • 建設業許可証(有効期間内のもの)
  • 常勤職員数を明らかにする文書として、社会保険加入の確認書類(日本年金機構発行の厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書と、その後に加入した方の標準報酬決定通知書。氏名と標準報酬月額が分かる書類)
  • 下記いずれかの建設キャリアアップシステムの事業者IDを確認する書類
    • はがき「事業者情報登録完了のおしらせについて
    • 建設キャリアアップシステムより配信されるメール「事業者情報新規登録完了「事業者 ID」のおしらせ」
  • 特定技能外国人受入事業実施法人((一社)建設技能人材機構。以下「JAC」という。)に加入していることを証する書類
    • JAC に賛助会員として加入している場合:JAC が発行した会員であることを証する書類
    • 所属する建設業者団体が JAC に正会員として加入している場合:当該所属団体が発行した会員であることを証する書類(JAC正会員名がこの書類に記載されていない場合はJAC正会員との関係を示す資料も添付)

適正な就労環境の確保に関する事項

  • ハローワークで求人した際の求人票(申請日から直近1年以内。建築・土木の作業員であって特定技能外国人と同じ職種の作業員の募集であること。求人を出していない場合は、新しく求人を出してその求人票を提出すること。)
  • 同等の技能を有する日本人と同等額以上の報酬であることの説明書(国土交通省ホームページからダウンロード)
  • 就業規則および賃金規程(労働基準監督署に提出したもの。常時10人以上の労働者を使用していない企業であって、これらを作成していない場合には提出不要)
  • 同等の技能を有する日本人の賃金台帳(直近1年分。賞与を含む)
  • 同等の技能を有する日本人がいない場合、比較対象日本人の賃金台帳
  • 比較対象日本人がいない場合、特定技能外国人の報酬額を決定した根拠となる書類
  • 同等の技能を有する日本人の実務経験年数を証明する書類(経歴書等。様式任意)
  • 特定技能雇用契約書および雇用条件書(全員分。法務省参考様式第 1-5 号、第 1-6 号、第 1-6 号別紙を推奨)
  • 時間外労働・休日労働に関する協定届(36協定届。有効期限内のもの)
    *変形労働時間制採用の場合のみ、変形労働時間に係る協定書、協定届、年間カレンダー(有効期限内のもの)
  • 雇用契約に係る重要事項事前説明書(告示様式第2)(全員分。相手方が十分に理解することができる言語(母国語等)の併記が必要。雇用契約前に必ず提示して本人直筆のサインが必要)

1号特定技能外国人リスト(特定技能外国人に関する事項)

  • 建設キャリアアップシステムの技能者 ID を確認する書類
    *申請時点で技能実習生等の雇用関係がある場合は、建設キャリアアップカード

書式や記載例については下記リンク先に詳しく説明があるので、ぜひ参考にされてみてください。

JAC :01. 建設特定技能受入計画作成のポイント(書類準備編)
国土交通省:申請の手引き、様式、システム操作方法【特定技能制度(建設分野)】

まとめ

建設業での特定技能外国人の受け入れについて概要をざっと説明しました。
JACへの加入や各種書類の収集など煩雑な部分もありますが、建設分野では更新が無制限となる特定技能2号へのキャリアパスもあり、将来的に長く就業してもらえる可能性もあります。

人材不足を解消するための期待の持てる制度であるため、今後人材の受入れを考えている事業者様は準備をしておいてもよいかもしれません。