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在留手続

通訳や翻訳業務で扱う言語は母国語でないと許可がでない?

自身の母国語が活かせる「通訳や翻訳業務」は日本に来る外国人の方にとって、人気のある職種の一つではないでしょうか。通訳・翻訳業務で働く場合は「技術・人文知識・国際業務」の在留資格が該当しますが、母国語以外の言語を扱う業務ではどうなのか、またどのような要件があるのかを説明します。

在留資格「技術・人文知識・国際業務」の基準を確認する

入管法第7条第1項第2号に記載があります。
その中から、通訳・翻訳業務にあたる国際業務についての記載を取り上げます。

外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務に従事しようとする場合は,次のいずれにも該当すること

・翻訳、通訳、語学の指導,広報,宣伝又は海外取引業務,服飾若しくは室内装飾に係るデザイン,商品開発その他これらに類似する業務に従事すること。 

・従事しようとする業務に関連する業務について3年以上の実務経験があること。
ただし大学を卒業した者が翻訳、通訳又は語学の指導に係る業務に従事す場合はこの限りではない。

実務経験は従事しようとする業務と同じ業務の実務経験である必要はありませんが, 関連する業務である必要があります。(外国での業務でも可)なお、大学を卒業した者が翻訳・通訳又は語学の指導に係る業務に従事する場合は実務経験は不要です。

原則は外国人本人の母国語や公用語に関わる業務

上記より、通訳・翻訳業務については、原則3年以上の実務経験(例えば外国での通訳・翻訳業務経験など)が必要ですが、大学を卒業した人は実務経験がなくても良いとなっています。

ただし、審査要領では母国語を業務で扱うケースを想定したものとなっています。

例外的に母国語以外の言語でも認められる場合

一方、母国語以外のケースではどうでしょうか。

審査要領では「大学等において、これらの業務に従事するのに必要な科目を専攻し、卒業した者又は日本の専門学校を終了し、専門士の称号を得たものである場合は人文知識カテゴリーが適用される」と記載されています。

つまり、大学や専門学校で専攻した言語に関連する業務に就く場合は、申請者である外国人の母国語や公用語でなくても業務が認めらる可能性があるということです。

許可oR不許可?具体的事例

不許可となる可能性が高い事例

エジプトの大学のビジネス学科を卒業した後、日本語学校に通うエジプト人Aさん(TOEIC800点、N2取得)が、「日本語と英語」の翻訳・通訳業務に就くため、在留資格を「留学」から「技術・人文知識・国際業務」に変更許可申請をしたケース。

→英語・日本語ともエジプト人の母国語ではなく、大学の専攻もビジネス学科であるため不許可の可能性が高い。
母国語であるエジプト語であれば可能性はある。

許可となる可能性が高い事例

ネパール語の大学のビジネス学科を卒業した後に日本語学校に通うネパール人Bさん(TOEIC800点、N3取得)が「ネパール語と日本語」の翻訳・通訳業務に就くため、在留資格を「留学」から「技術・人文知識・国際業務」に変更許可申請をしたケース。

→ネパール語はBさんの母国語であり、大学卒業によって実務経験は問われない。

ベトナムの大学の英語学科を卒業した後に、日本語学校に通うベトナム人Cさんが「英語と日本語」の翻訳・通訳業務に就くため、在留資格を「留学」から「技術・人文知識・国際業務」に在留資格変更許可申請をした。

→業務に従事する科目に必要な知識に関連する科目を専攻して大学を卒業しているため、科目と業務内容の関連性があるといえる。(この場合は人文知識カテゴリーが適用される)

参考及び一部引用 「福岡県外国人受入Q&A」

まとめ

今回は通訳・翻訳業務において、母国語以外を使用する業務に就くことが可能なのか?について解説しました。
結論として外国人本人の母国語や公用語以外にも、大学や専門学校で学んだ専攻科目や、TOEIC等での語学力を証明できればそれらを活かす業務で働くことができることになります。
また同じ「通訳・翻訳業務」でも人文知識と国際業務カテゴリーに分かれる点がポイントです。
また、実際の許可申請では日本人と同等以上の報酬であるか等の雇用側の条件や、申請する外国人本人の素行なども審査事項であるため、総合的に判断されることとなります。

ご自身での判断が難しい場合はお気軽に問合せください。